伊那食品工業 塚越さんの真骨頂です。
「かんてんぱぱ」
「社是 いい会社をつくりましょう」
「48期 増収増益の年輪経営」
「日本で一番天国に近い会社」
数々の伝説をまとった長野の寒天メーカーさんです。
当社も15年ほど前に社員と一緒に勉強に行かせていただきました。
その時の感動は今も忘れられません。
現地で購入させていただいた、「100年カレンダー」
常に30年、50年、100年を見据えた経営をしようと決意した日です。
あのトヨタの豊田章男さんも「師匠」と仰ぐ塚越さんの「あたりまえ経営」正しいと思います。https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00149/041600003/
これまでリストラを一度もしたことがありません。新型コロナウイルスの影響が長期化する中、多くの企業がリストラを始めるのではないかとの懸念が出ています。
塚越氏:従業員を解雇することはこれまでなかったし、これからもありません。どんなに苦しくとも、経営者の責任として一度採用した以上はその人の幸せを考え、雇用し続けるのが当然です。
企業は何のために存在しているのか。この点について勘違いしている人が多いですね。企業の目的は経営者の虚栄心を満たすことではなく、いい会社にして皆で幸せになることこそが目的です。だからこそ、経営者は人間としてどう生きるのが正しいのか、それにともなって会社はどうあるべきかを考えなければなりません。
新型コロナの影響で、多くの企業の業績が悪化しています。
塚越氏:私が実行してきたのは、皆の幸せを考え長期的に少しずつ成長を重ねる「年輪経営」です。ゆっくりと、しかし毎年どんなことがあっても、どこかがよくなる経営、といってもいい。非効率に見えるかもしれませんが、企業には終わりがありません。だから成長を急ぐ必要は全然ありません。
むしろ手元資金を十分に置いて着実に成長するから、リスクに強い。一方、四半期ごとの決算を重視する効率経営は急成長が目的になっている分、いざというときの備えが十分でないためリスクに弱い。 結果として、新型コロナウイルスの感染拡大のようなリスクに直面したとき、経営者の考えの差がくっきり表れるのです。
危機が訪れたら真っ先に雇用に手をつけている企業もありますが、伊那食品工業では「コロナウイルスの感染拡大で景気が低迷したからといって社員を切る」などということは絶対にあり得ません。そのためにずっと取り組んできたし、売り上げが半分になっても社員を2~3年雇用するくらいの力はあるつもりです。企業の目的は社員の幸せであり、交流のあるトヨタ自動車の豊田章男社長はこの点をよく理解しています。
「危機に備えて農業もやっている」
社員みんなで幸せになることを目指しても、社員にはしっかり働いてもらわなければなりません。「雇用を守る」という立場に立つと、社員は甘えませんか。
塚越氏:社員の幸せを目的にした経営をしていれば、そのことは社員に伝わるので、伊那食品工業にはやる気のない社員はいないし、定年までずっと働いてくれる。年齢とともに必要なお金も増えるから、年功序列を続けます。社員は会社を我が家の延長と思っている人が多く、社員旅行があれば皆参加しています。
いわゆる「262の法則」に対して、働かない2割の人を排除するために成果主義をとる会社がありますが、それには反対です。2割を排除しても、残った人はまた262に分かれるだけです。だから、排除する経営はうまくいかない。むしろ、262のままでいいから、全体のレベルをあげることを考えるべきです。私はそれをずっと実践してきました。
突然襲ってくる危機に対して、どんな備えをしていますか。
塚越氏:いざというときに対する備えは非常に多岐にわたっています。例えば、伊那食品工業では本社だけでなく、各営業所にコストをかけて衛星電話を置いているし、非常食としてようかんを備蓄しています。
もっと言えば、いざというときに備えて農業にも取り組んでいます。また、営業所は高層ビル内などでなく、いろいろなリスクが少ない住宅地に置いています。これらはすべて、「社員の幸せ」という企業の目的に基づいています。